ぼんさんのひとりごと

bonsan no hitorigoto

ぼんさんのひとりごと

第14話 僕は、ガラス割ってません!

■私の小さい頃、三角ベースの野球をしていました。ボウルは手づくりのもので、グローブも布のものでした。バットは木の枝です。
餓鬼大将のあつし君が大きいホームランを打ちました。近所の窓ガラスにあたり「ガチャン!」と大きな音がしてみんな驚いて逃げました。
一人ひさし君がその家へ飛んでゆき「おじさん、ぼくが割ったんじゃないよ。」と言って戻ってきました。
皆はひさしやるなあ、あの雷親父に謝りに行ったとは、大した度胸よのう。
ところが、実は自分だけいい子になって、逃げ帰っていたのです。

その子が、今55歳になって家督を相続することになりました。
親の3回忌の法事が済むと、家屋敷を売りに出しました。
姉二人に、「僕が悪いんじゃないよ!」と話しているのが聞こえてきました。

いつも、「僕が悪いんじゃないよ。」で、この子の一生は終わるんでしょうか?