ぼんさんのひとりごと

bonsan no hitorigoto

ぼんさんのひとりごと

第38話 私の記憶に残る作品

★たどたどし母の便りや春の雪
これは私が大阪のシャープ電機に就職した頃(18歳)郷里の母から貰った手紙の事を詠んだものです。
馬酔木(俳句雑誌)に投句し水原秋櫻子選に入った句です。

★つつましくサービス員ですと告げて後己が身なりをふとかえりみる
これはシャープ電機サービス員時代(外勤で堺市あたりをテレビの修理に行っていた頃)21歳頃、毎日の業務日誌に書き込んでいた一首が社内報「窓」の早春短歌会に入選した一首です。

★出生の秘密を知りて婚約を破棄せんとする姉の横顔
この歌は毎日新聞の日曜歌壇、川田順選に入った一首です。23歳ごろ、姉のように慕っていた人のことを詠んだものです。

★兄は出で姉嫁(ゆ)きて後父母に逆らいてわれの寺を出しか
18歳の時、寺を出て大阪へ就職す。

★逆らいて出でたる寺に落慶の導師となりて詠歌聴き入る
平成9年3月30日、58歳の時教深寺住職になり20年、275年ぶりに本堂再建し若かりし自分を振り返る。

★退職を決めたる朝の時雨けり
私28歳子供が出来て4ヶ月目シャープ電機を辞める決心をする、時は11月末外は時雨ておりました。
これからが苦労の始まり、妻や両親に心配をかけました。しかし結果は今の僧侶としての糧になっています。子供も今は35歳孫も出来ました。子や孫に望むことは、たくましく生き抜いて他人に優しい人になってほしい。