■父(先代住職)が涙をはじめて見せたのは、母の葬儀の時でした。
厳しい父の人間らしさを垣間見たようで、子供らはほっとしました。
それから間もなく、母の4,7日忌の日に脳卒中で倒れ寝たきりの生活になりました。
お寺の後継者も決まっておらず、途方に暮れておりました。男の私が後を継ごうと名乗り出たものの得度はしていましたが、僧侶の資格も取っていませんし、加行(けぎょう)も終えていません。
さあこれからの1年が大変でした。周りの人らに助けられて、運良くまる1年で資格が取れました。
報告したのが11月16日でした。その時枕辺の私は2度目の父の涙を見ました。
安堵の涙だったのかもしれません。12月30日満80歳で遷化しました。
私38歳の新しい門出になったのでした。
この父の涙が今も私の心の支えになっています。
ぼんさんのひとりごと
bonsan no hitorigoto