■私があるスーパーの店長をしていたときの出来事です。土曜日の午後だったと思います。
★店内警備の人から連絡があり店長室に入りますと、イガグリ頭の男の子がうなだれているではありませんか。机の上には包丁が置かれていました。「どうしたんかね?」警備の人が「この子がその包丁を万引きしたんです。」その子に尋ねました「君なまえは?」 「***です。」はっきりとした言葉で返事が返ってきました。ある中学校の一年生で、家は小さな豆腐屋なのだということ。お父さんが古い包丁で豆腐を切っているのを見て、今日はお小使を貯めていたのを持ってきて新しい包丁を買おうとしましたがほしい包丁は値段が高くて買えないのでどうしょうかと迷っていましたら、売り場に誰もいなくなったのでつい魔が差して万引きしてしまいました。と話してくれました。そのまま許して帰ってもらおうとも思いましたが、万引きは悪いことだし、今のうちにその芽を摘んでおかないとこの子の将来によくないと、心を鬼にして、親と学校の担任の先生に連絡しました。隣の町から一時間あまりでやってきてくれました。いきなりお父さんがその子の頭を殴りました。「この馬鹿息子めが、親の顔に泥を塗りやがって!」
☆私はお父さんに言いました。 「お呼びしましたのは、お父さんや先生に恥をかかせて謝ってほしいからではありません。この子がどうして包丁を万引きしたかその心根をわかってほしかったのと、二度と万引きしないようにお父さんと先生の前で誓ってほしかったのです。」 と・・。