ぼんさんのひとりごと

bonsan no hitorigoto

ぼんさんのひとりごと

第127話 お盆棚経の応対

今年のお盆は殊に暑さが身に堪えました。

檀家各家にお盆の棚経にまわりました。

約束の時間に少し遅れても辛抱強く待っていてくれます。

ご先祖をお迎えするがごとくに、丁重におもてなししてくれます。

初めての檀家のお家にお伺いしました時の事です。、ご両親が急用で外出しており、

20歳くらいの息子さんが留守番をしておりました、仏壇の前でお経を挙げ

お布施を頂戴しようとしましたら、「何ぼぜ」「1000円ほどいただければ

ありがたいのですが」「ほうけ、これ持って帰れや」と言って、ズボンの

ポケットより、くしゃくしゃの1000円札を取り出して床に放り投げました。

拾い上げて、しわを伸ばして、頂戴しました。

やり場のない怒りに包まれ、情けなさもあり、どっと疲れが出ました。

すると次のお家に参りましたら、やはりご両親が今急用で出かけましたと、

10歳くらいの男の子が留守番をしていました。

お父さんお母さんが留守ならお布施は後で届けてもらってもいいですよ。

すると、お盆にお布施を載せて「ありがとうございました」と挨拶を

してくれました。お母さんにお坊さんが来られたらちゃんとご挨拶

してお布施を差し上げるのですよと、頼まれていたのです。

初めの家は、多分ご先祖を大切にしてないお家で、子供の教育も躾も

出来ていません。後のお家はその逆で、先祖を敬い、子供らも親の

言うことをよく聞いて、円満なご家庭でありましょう。

暑さや疲労の中に、こんな良い少年に会えた喜びがすべてを忘れさせてくれました。