ぼんさんのひとりごと

bonsan no hitorigoto

ぼんさんのひとりごと

第50話 母の怒り

■一度も怒ったことのない母、私の小さい頃にはもう耳が聞こえなくなっていました、口やかましい父と違いもの静かでのんびりした性格でした。
いけず盛りの私が父に叱られて暗い本堂の中へ懲らしめの為入れられた時も、夜中こっそりとつれだしてくれました。
厳しい父と優しい母に護られて大きくなりました。

母がなくなって母の嫁入りダンス(桐の一間物)を整理していましたら引き出しの一番奥の所から真綿に包んだ紙切れが出てきました、そこには「こんど、こんな事をしたら許しませんよ。・・・・・」と父への怒りが切々と記されていました。
父は若いときにはかなり放蕩をしたようで、母の怒りも頂点に達していたのでしょう、そんな怒りを母はこんな方法で我慢していたのでしょうか。私ら6人の子供の為に!

母の強い一面を知ることができました。

明治39年丙午の生まれなのでお寺へ嫁にきたといっていました。

昭和51年8月8日午後8時15分でした。
親孝行も出来ずに別れることになってしまいました。
光明院壽楽妙芳大姉     俗名  芳子 享年69歳、     合掌