ぼんさんのひとりごと

bonsan no hitorigoto

ぼんさんのひとりごと

第4話 あるおばあちゃんのお話

■スイミングスクールに通う80歳のシゲコおばあちゃん。
お孫さんの真美ちゃんが指導員にお願いした事とは?
★80歳になるシゲコおばあちゃんが、ある日、小学校6年生のお孫さんの真美ちゃんに言いました。
「真美ちゃんの通っているスイミングスクールにおばあちゃんも連れてってほしいなあ」
「えーツ!おばあちゃんは80歳だよ。泳ぐなんて無理無理!」
「水の中を歩いているだけでもいいからさ。連れてってよ」
数日後、真美ちゃんはおばあちゃんと一緒にスイミングスクールに行きました。
驚いたのは指導員の青年でした。
「えーツ!長い間いろいろな人の指導をしているけど、80歳のお年よりは初めてだなあ。なぜ今になって水泳をやろうと思いついたのですか?」
「わたし、泳げないんです。もし、お迎えがきても、三途の川を渡り切れなかったら困るでしょう。三途の川を渡れるように練習しておきたいのです!」
おばあちゃんの迫力に押されたのか、指導員の青年が答えました。
「いいでしょう。でも、絶対に私の言うことを守ってくださいよ。」
その時、真美ちゃんが先生に話し掛けているのが漏れ聞こえてきました。
「先生、お願いがあります。三途の川を渡りきったら、Uターンして、もう一度こっちの岸に帰ってこられるような泳ぎ方をおばあちゃんに教えてください。お願いします!」
シゲコおばあちゃんは思わず真美ちゃんを抱きしめて言いました。
「有難う!  ありがとう! ありがとう! 真美ちゃんは優しいねえ。」
おばあちゃんの眼に涙がいっぱい溢れていました。